ヘルスケア分野のインバウンド消費

2015/12/25 投稿

2015年はインバウンド消費の盛り上がりが注目されました。

 

1219日の時点で訪日外国人客が1900万人を超え、45年ぶりに訪日客数が出国者数を上回る見込みと報じられました。

 

 

インバウンドとは、受け入れる側にとっては国外から消費が流入して国内で使われるマネーが増えます。一方、送りだす側からはその支払いにマネーが国外へ流出しますが、代わりに消費者はモノやサービスという価値を得て持ち帰ります。

 

それではヘルスケアの分野ではどうでしょうか。

 

観光庁の「訪日外国人の消費動向 平成277-9月期報告書」から直近のデータを見てみましょう。

 

  • モノに関しては、土産物としての「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」は、全体の購入率は49.4%、購入者単価は24,034円となっていました。国別では中国が購入率69.0%、購入者単価37,332円と金額ではトップで、香港(58.2%、19,211円)、台湾(72.32%、17,521円)と続きます。 
  • 最も満足した購入商品に「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」を挙げたその理由では、「品質が良いから」が68.7%となっていました。
  • 観光目的の訪日外国人の買い物場所では、コンビニエンスストア(68.2%)、ドラッグストア(68.1%)、空港の免税店(67.3%)、百貨店・デパート(66.5%)が上位にあがっていました。

 爆買いと注目された中国からの訪日客が、コンビニエンスストアやドラッグストアで、品質が良いからと日本製の医薬品や衛生用品をまとめ買いする様子がデータからもうかがえます。

 

モノが売れているということは、製造や流通、販売に係る業種に効果が波及していると考えられます。

 

  

次にサービスについて見てみましょう。

 

「訪日外国人の消費動向調査」では、滞在中の活動についても質問していて、「治療・検診」のデータがあります。

  •  平成277-9月期は、「治療・検診」は今回の滞在中にしたことでは1.8%、次回の訪日時にしたいことでは4.0%、今回したことの満足度では77.4%となっていました。
  •  「日本食を食べること」は今回したが96.1%で、満足度は86.5%でしたが、次回にしたいことでは60.7%でした。「ショッピング」も今回したことと満足度は高いのですが、次回したいことの回答率は下がっています。

これらの2つの活動に比べると、「治療・検診」は今回ではなく、次回の訪日時にしてみたいことに位置づけられているようなので、「治療・検診」を受ける機会を増やし、その時の満足度を高めてリピーターを増やすという方策が考えられます。

 

 今のところ、モノのようにはヘルスケアサービスのインバウンド消費は目立ちませんが、訪日外国人が日本でサービスを消費することで、健康という価値を持ち帰り、それが送りだす側の国内の経済活動に波及し、さらなる日本でのインバウンド消費へといった好循環につながると期待されます。(2015.12.25